2016年9月25日日曜日

市原ぞうの国

一度行きたかった市原ぞうの国。公的な動物園とは異なるスタイルのぞうの国に期待は膨らむ。全体的にレトロな設備で動物たちを囲む鋼製の檻も必要最低限。動物によっては直接触れ合うこともできるし、園内で販売しているミニバケツに入ったニンジンとバナナのおやつ(500円)をあげることができる他には類を見ない動物園で子どもたちも大満足だ。


誰でも気軽に直接動物に触れることができるのが素晴らしい



久しぶりの雨なしの休日。横浜を9:00過ぎに出て日曜日のアクアラインの流れに支障は無い。高速道路ノンストップでちょうど1時間ほどで到着する。距離にすると横浜から御殿場くらいの距離であろうか。ぞうの国は圏央道の市原鶴舞より直ぐでアクセスは良好だ。


「ぞうさんショー」の後半に行われた『お絵かきタイム』



さてお待ちかねの「ぞうさんショー」が午前の部は11:00から始まった。約1時間に及ぶこのショーはタイ出身の多くのゾウ使いたちの存在や自ら進行役のサユリ園長にも驚いたが、なんといっても見逃せないのがショー後半のゾウさんの『お絵かきタイム』だ。3頭のゾウが代わる代わる交代で1つの絵を完成させていく。3頭目の9才になるメスのアジアゾウの「ユリカ」が仕上を行なう。これには全く脱帽だ。また出来栄えがなんも素晴らしい。



本日の作品かと思いきや微妙にタッチが違う。。 タイトルは『おぼろ月夜と兎』?



ゾウ以外の動物は思いのほか沢山いた。アザラシやマゼランペンギン(いずれも1匹のみで少々くたびれているようにも見えた)をはじめフラミンゴとペリカンは大群で。そしてイグアナ(1匹)にワニ(3匹)までいた。中でも2つコブのラクダの親子は素晴らしいフォルムをみせてくれた。2つコブのラクダを見るのは覚えている限り生まれて初めての経験だ!動物園で子ども3人連れで10,000円以上の支出はさておき、これは他に類を見ない、是非一度は訪れたいおすすめの動物園だ。


ラクダフィールド1週で1,000円/人



時間にして1分と短いが良い思い出になるだろう



隠れたアトラクションとでも言ったらいいのか。このカバ(1匹のみ)は午前中はおとなしく静かに横たわっているだけで見るに足らない状態だったが、午後のえさの時間になると別人のように自慢の巨大な口あごを披露してくれた。その口あごは1m程度の高さしかない柵を超えんばかりの迫力で、何の前ふりも無くわたしたちの目の前で突然行なわれた。このパフォーマンスにはかなり驚かされたが大いに楽しめた。おすすめ。




ホームページやパンフレットには無いこの「カバの大口」は13:30頃行なわれた




動物園のランチはカレーが定番。お子様カレーは500円(紙パックジュース付)。ビーフカレーは800円。ハンバーグカレーは950円。値段のわりに量が全体的に少なめで小1の次男坊は「全然足らない!」と不満プンプンだった。節約志向で訪れるのならオニギリ等を持参するのが手。「お弁当持参はこちらでどうそ」と古い看板があったが、通りすがりの人は「ここお弁当持込禁止ですって?」と話をしていた。可否は不明。ちなみに自動販売機のドリンクは200円で1本のペットボトルが売られている。水筒は持参してもよいであろう。



はじめ 小6 11才 ビーフカレー
いずみ 小1 7才 ハンバーグカレー
まこと 年中 4才 お子様カレーライス


「ぞうのものしり館」にあるゾウの「ユメカ」の作品群は必見。自分が描く桜の木を想像してみれば、「ユメカ」の素晴らしさがわかるだろう。エッ?筆書きの漢字も負けたって?








ぞうの国はショーも含め半日もあれば全体が見渡せる。予定より少し早めの帰路はのんびりと一般道で木更津に向かう。近くのダム湖(高瀧湖)と小湊鉄道を見て今日は早々の帰宅。隣地の公園で子どもたち3人とジョギングで汗を流す。


ダム湖(高瀧湖)に神聖なる鳥居を発見

踏切で小湊鉄道のイベント車両と遭遇

2016年9月15日木曜日

西生浦倭城 ソセンポわじょう

◉行き方(2016年9月15日現在)
釜山(プサン)の海雲台(ヘウンデ)にある市外バスターミナルから鎮下(チナ)行きのバスに乗ろうとしたら既に廃止されていた。切符売場の人にチナ近くの町、南倉(ナムチャン)で下車して市内バスに乗り換えるように勧められたので行き方の参考にして下さい。

往路
ヘウンデ⇒ナムチャン(市外バス W4,300 約45分)
ナムチャン⇒チナ〔西生浦倭城〕(タクシー W8,800位 約10分)

復路
チナ〔西生浦倭城〕⇒ナムチャン(市内バス W1,300 約15分)
ナムチャン⇒ヘウンデ(市外バス W4,300 約45分)




プサンのヘウンデにある市外バスターミナル 



詳しく(ヘウンデ⇒ナムチャン)
地下鉄2号線のヘウンデ駅の2番出口を出てそのまま通り沿いに200m程歩いた左側に新しいバスターミナルがある。バスターミナルといっても普通の建物で、覗き込んでも切符売場しか見えないが安心してほしい。バスは建物の裏側に隠れていてしっかり出番を待っている。発車時刻少し前にバスが切符売場前の路上に到着し、定刻に出発する。決して焦って時刻前に来るバスに乗ろうとしてはならない。わたしは2回も誤ったバスに乗りかけてしまった。韓国でバスに乗るには正確な腕時計が必要で、更に乗車口越しに運転手に大きな声で恥ずかしがらす「ナムチャン?」と確認して切符を手渡しすれば間違いないだろう。


切符の行き先欄にはローマ字で Namchang と刻まれていたので安心だ



詳しく(ナムチャン⇒チナ〔西生浦倭城〕)その1
ナムチャンのバス停で降りると目の前は小さな郵便局。そこで他のバスを待っている青年にチナ方面の市内バスのバス停は此処かと訪ねると、そこからすぐの路地を曲がったところにある別のバス停まで丁寧に案内された。しかし不運にも次のバスが来るまで50分ほど待たされるようだ。迷うことなくすぐさまタクシーを捕まえて西生浦倭城へ向かうことにした。


チナ方面の715番のバスが来るまであと50分のサイン



あたりを見渡すと人通りもまったくなく、どの商店もシャッターがしっかりと閉められている。今日は韓国の祝日、チュソク(秋夕)の中日であることが理由か不明だか、町はすっかり静まり返っている。これではタクシーが捕まるのかまったく不安である。。。しかし、ものの1分もしないうちにタクシーが現れ、片手を軽く上げると目の前で止まった。すぐさま助手席に乗り込み(韓国人は1人でタクシーに乗るときは後部席ではなく助手席に乗り込む。勿論自動ドアではないがメーターはしっかりしたものがついているので安心だ~サヨンド島でタクシーに乗った時はメーターがあるにもかかわらず言い値を言ってきた運転手もいた)ガイドブックの西生浦倭城のハングル文字の部分を指差して行き先を告げると少し驚いた様子でこちらをチラリと見る中年の運転手。また私が日本人に見えなかったということか。。。



タクシーを降りると向かうは山頂の天守閣跡へと胸が高鳴る                         (右の小屋は無人の案内所・正面の小屋はトイレで女性にも安心)



歴史の場所に立つ
日本側総勢15万人といわれる文禄の役が起こった1592年の翌1593年に海抜133mの山頂に築かれたこの平山城(ひらやまじろ:平野にある丘陵、山に築かれた城)は聞くところあの加藤清正の指揮で取り仕切られたそうだ。当時築かれたこれらの石垣に実際に自分の手で触れてみると間接的に400年前の男たちと握手をしたような妙な感覚を覚えた。



西生浦倭城の遺跡全体像



山の中腹までさしかかるには大して時間はかからない。400年前の石垣に目を凝らしてふと来た道を振り返ると水平線がうっすらと見え隠れする。その青い海の向こうには確かに日本列島が見えるはずだ。戦で命を落とすかもしれないと躊躇いながらも、さらに命をかけてこの海をはるばる渡ってきた当時の武将たちのことを思うと、この平和な現代に生かされている自分がいかに軟弱で半端な男かと、少しだけ情けなくなってしまった。


一部に補修跡も見られる石垣の背後には日本海                                                    400年前に清正もこの場所から近くて遠い祖国を思ったに違いない



調べるところ加藤清正は漢城(ソウル)を経由して一時は明の東北部(中国東北部:満州)まで攻め込んだといわれているが、その後に義兵隊を含めた朝鮮・明軍の総勢24万人は日本軍を釜山まで撤退させ文禄の役(1592-1593)は終結したようである。聞き覚えのある「清正の虎狩り」はこの当時に行なわれたという伝えがあります。自らの安全のため又、主君秀吉が欲した虎の肉を得るため見事に槍で人喰い虎を捕らえたそうです。惚れる!




蔚山倭城籠城屏風絵(Wikipediaより)




文禄の役は終結したものの日本勢は朝鮮半島に築いた城(倭城)に駐留していたそうである。慶長の役(1597-1598)の1597年、調べるとこ清正は西生浦倭城から約15kmほど離れた蔚山(ウルサン)倭城に入り籠城して毛利秀元(元就の四男、穂井田元清の長男)・黒田長政らの援軍によって明軍に勝利したといわれている。改めて思うが400年以上も前から韓国と中国と戦っていた日本。仕掛けたのは日本だが欧州国が東アジアを攻めてくるこの大航海時代。ただ指をくわえているか、さもなくばこちらから動くか。貴方ならどうする。




バス停から西生浦倭城の山を見返る

 



帰路の市内バスは715番であと42分?

 



この看板が目印




 

バス停は Haemaji-ro で 1639番



詳しく(ナムチャン⇒チナ〔西生浦倭城〕)その2
ナムチャンから運よく市内バスに乗れたら進行方向右側に座りバス停脇の漢字で大きく書かれた看板「西生浦倭城」が目印だ。しかし、いきなり下車できないので次のバス停(おそらく次のバス停がチナ)で降りても西生浦倭城までの距離は殆ど変わらない。チナのバス停付近にはコンビニエンスストアが数店あるので必要なものがあればそこで調達できる。




チナのバス停方面から臨むと山頂に威風堂々とした石垣が臨める





詳しく(チナ〔西生浦倭城〕⇒ナムチャン)
帰りは市内バスでナムチャンまで戻ることにした。来るときにタクシーが右折した路地まで徒歩で戻ると次の715番のバスが来るまで42分。これは海まで散歩しない訳にはいかない。海から戻ると先ほど確認したバスの時間はナムチャン方向とは逆の方向のバスの電光掲示板であった事に気が付く。すぐさま振り返り、道路の反対側をみると木陰に隠れているように同じ姿かたちの電光掲示板が建っている。急ぎ駆け込み同じ番号、715番の待ち時間を恐る恐る見る。幸運にも待ち時間はあと15分。胸をなでおろした瞬間だ。




時間に余裕があれば海風を浴びよう





ナムチャン方面のバスを待っていると先に405番のバスが到着した。乗車口から1段上って運転手に「ナムチャン?」と聞いたら「降りろ!」と言わんばかりの仕草。その後に到着した715番のバスの運転手からは「乗れ!」の合図。乗車後しばらくしてから窓越しに停車するバス停毎に「ナムチャン」の文字を逃さないように凝視する。全ての停留所にアルファベット文字の記載があるので安心だ。10分ほどバスに揺られ、どうやら次のバス停がその「ナムチャン」のようだが一緒に乗り合わせた現地の若者はまだ降りるなという。わたしがプサンに行く事を知っている彼らはその「ナムチャン」から2つほど先のバス停「ナムチャンハイスクール」で降りろとアドバイス。ここは素直に従いそこで下車する事にした。




正面の平屋小屋がヘウンデに戻るナムチャンの市外バス乗り場                                  やや左側に見える市内バス停のポールはチナ方面のナムチェンのバス停





詳しく(ナムチャン⇒ヘウンデ)
「ナムチャンハイスクール」のバス停で降りた後はプサン行きのバス停を訪ねる。川を渡るように言われ、言われるがままに橋を渡ると市外バスに乗って来るときに下車したあの郵便局。近くの酒屋でプサン行きのバス停を訪ねると、どうやらすぐ先の路地を曲がれと言っているようだ。お見事!これまた来るときに青年に丁寧に案内されたバス停であった。



ヘウンデへ向かう市外バスは日中約30分間隔で運行しているようだ





2016年5月15日日曜日

"Shounen no Mori" 少年の森



Symbol Tree Jpn 'Zelkova'
Athletic fields and activities
It has about 20 outdoor athletic facilities in
the playground for children without a fee.
It's called "Syounen no Mori" that means
'Boy's Forest' where is located at north-west
of Fujisawa City in Kanagawa Prefecture.
website but only Japanese. It's open from
9:00am to 4:30pm; closed Monday.


Access
Buses run to 'Gosyomi tyugakkou-mae"
from some train stations ''Syounanndai',
Athletic Facilities
'Tyougo' and 'Ebina'. "Syounen no Mori"
is about 800m south of  the bus stop 'Gosyo-
mi tyugakkou-mae". Bike is perfectly feasible.
It has the advantage of getting directly there.
Otherwise, put your bike on the train before
you start pedalling. You are required to use
a bike carrying bag. Many people drive a car.
Free parking lots available for about 50 cars.


What to bring
Some people prepare a tent for sun blind along
the small artificial pond so that they can look
thier children playing in the water. Spare
Dandelions
clothes, sandals and the lunch box are
required for children. There are no shops
except soft drink vending machines. Do not
forget water bottles your favorite.


Playing at 'Boy's Forest'
I left home late at 10am to avoid free parking
spaces crowded. I thought parking is the most
crowded around 10am. I bet a few people leave
before noon. Then I can park my car easily.

We got "Shounen no Mori" at 11am.
A couple of cars couldn't park in a proper
Bring Water Bottles
parking section. That means overflowing
with cars.... As expected, luckily, there were
two parking spaces vacant.

My children took about a hour to do all 20
outdoor athletic facilities. They enjoyed two

times. Then, we really enjoyed the botanical
observation. After that, we had lunch I had prepared.

Actually, preparing lunch boxes hung up
leaving home. Before leaving "Shounen no
Mori", we enjoyed playing baseball and soccer
in the playground next to Zelkova tree.





Dawn Redwoods (Metasequoia)
False Strawberry














2016年5月5日木曜日

Morito Valley Trek


Access
Shin-Zushi is the terminus of the Keikyu line, not far from JR Zushi station, and the starting point for this hike. The gate of Morito Valley is around 2.5 km south-east of Shin-Zushi Sta. It takes about 40 minutes walk with three children.

At The Gate
It's by no means a major attraction, but I highly recommend this is one of the best half-day hike around Tokyo. So my youngest child "Makoto" is only 4-year-old baby girl. I was trying to soothe her again and again. After 40 mins walk from the station, we finally managed to arrive at the gate. But then, we were stuck. The sign reads "NO ENTRY".


Taking a closer look, there is a narrow entrance for a pedestrian beside the gate. My first child "Hajime", 6th grade, insists that we can't get in the forest. He is very well-mannered. I'd like to see what his parents are like. Now, I can't think of switching the hiking route after such a long walk. This warning doesn't bother me a bit, but he does. Last night, I took a glance at the map. The title is "The Miura Alps". So I'm confident I can take a walk in safety but I'm not confident if Hajime agrees or not.

I have a strong memory about him. Last year, we visited the site of a new dam project at Gunma Pref. The site was under construction but no one was there. Just some dump trucks passed us in a desolate village without even saying hello. Dispalced people had already been forced to exit their homes. And the closed railroad station was just the other side of the truss structure brige. I was so excited to see these views. So I was taking a walk on the track and got up a ladder to the signal for railroad. I really enjoyed a lot.  Here are some photos at Yanba-Dam Project 2015.  But Hajime had never passed through a piece of rope "KEEP OUT".


The Trek
I behaved ordinarily at the gate and just went through it. Hajime came at once with concern. Then 2nd child "Izumi" and Makoto followed Hajime like a shadow. Before long, we walked past the elder hikers. What a relief, I thought I'd miss the hike.

From here the trail contours along the side of Morito Valley before ascending to "Mt. Futago". The trail crosses the small narrow stream till upstream on a long, log bridges and leads you walking on the stream to climb to Mt. Futago. Watch carefully, or you'll miss the sign that is
on a very small scale and is partly concealed under leaves.

I was a little surprised. My cellpone was out of range. Even in Northern Alps, it works. So it's lovely day, hear beautiful birdsongs, unexpected a pice of chain or rope at rolling hills, and amazing lots of fallen trees, but no toilet facilities on the trail. It takes about 1.5 hours to the peak of Mt.Futago from the gate. We enjoyed having lunch there. I had packed 2 big boxes for children.

Hiking this route with children, I recommend playing or fishing for small fish at the stream by the gate before walking to Mt. Futago. Actually, my children enjoyed as much as they want. As for me, I feel happier out there than in here.























Side Trip: Public bath
Here is the public bath "Aduma-Yu" near JR "Higashi-Zushi" Sta.
It takes about 1.5 hours from Mt.Futago. It's good location on the way home after hiking there. But unfortunately there was closed on Tursdays.... I thought it would be open today cuz today is a national holiday for celebrating children growing up espesially boys. The day features the practice taking a bath with the plant called sweet-flag. 

Side Trip: To "Taura" Yokosuka
There are some routes from Mt.Futago to Taura. I know there is a public bath as well....



The Miura Alps
The Miura Alps is located just south of Mt.Futago. The route is almost mountain ranges between west and east. The west starting point is "Hayama". The East is "Taura". Now I hit on an idea about treking. One party starts from east around Mt.Sengen", othe one starts from west around "Mt.Nyutou".





2016年2月9日火曜日

チャイナ飯店 ⭐️⭐️⭐️⭐️

◉横浜市南区井土ヶ谷中町 チャイナ飯店(食ベログ)

横浜の戸塚に引っ越してからお店の存在は知っていたのだが場所が特定できず、ほったらかしにすること15年は経っただろうか。今夜は保土ヶ谷界隈で子どもたちと外食することになったのでネットで食堂を探している時にこのデカ盛りで有名な「チャイナ飯店」とめでたく再会した。いま調べてみると簡単に場所をはじめ、お薦めメニューまで情報を得ることができた。昔とは機動力いや情報力が桁違いだ。


鶏肉炒飯 840円
麻婆炒飯 1,050円



ランドマーク
チャイナ飯店すぐのところに以前思い出深い場所があった。つい数年前、、いやもうサミットストアができて5、6年は経つだろうか。以前、その一角はわたしが生まれて初めて一人暮らしをスタートさせた地、横浜の平沼に引っ越してきた頃から長い間ずっと空き地だった。そしてその広い空き地に一軒の木造家屋が取り残されていた。

おそらく昭和30年代に建築されたであろう、これといって特長のない木造家屋の軒下には一つの看板があった。「小林自転車商会」とペンキで書かれたその文字は筆の勢いがそのまま文字のハネ、払いに鮮明にあらわれていて見る者の記憶に残る素晴らしい筆づかいだった。

店名の下に確か「技術が自慢の店」と書かれていた。短文で控えめでありながら自信に満ちたそのメッセージは店主の人柄を伝えるには十分で、店名の他に看板に何を書くか考えに考え抜いた末に決めた経緯までうかがい知ることができる。

わたしはその場所を通るたびにその看板を見つめ訳もなく目頭が熱くなったことを思い出す。わたしがいまここで生きている実感をわたしに与えてくれた大切なランドマークのひとつであった。


2016年1月31日日曜日

韮崎旭温泉 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

◉山梨県韮崎市旭町  〔ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉〕
大人600円 閉店20:00

つつみこむような優しい40℃の源泉が湯口から勢いよく浴槽に注がれている。これは長湯するには極上の泉質と湯温である。浴槽の深さも深すぎず素晴らしい出来栄えだ。湯舟に浸かっている人々は浴槽の縁に身体をあずけ皆一応に湯舟の中央に向かって両脚を伸ばしてくつろいでいる。

よく観察すると浴槽の縁に置いたタオルを枕代わりにして後頭部を基点に全身のバランスを取っている。これは基本的な浴槽での極楽の姿勢の一つだ。浴槽に仰向けになった身体の重さは湯舟に注がれた良質の湯が足腰に代わってそれを支えてくれているようだ。

まるで湯舟の中でプカプカ身体を浮かせているようなこの姿勢は常日頃、全身を支えてくれている足腰がつかの間の休息をしているようにも見える。早速右へ倣えと持参のタオルを浴槽の縁にセットしてそれに頭をあずけ全身を湯に委ねる。枕の浴槽の縁からはふんだんに湯が流れ落ちていく。これはまったく気持ちがよく、これほど贅沢なものはない。



源泉が注がれる湯口まわりの浴槽は見事に褐色に変色している


ふと湯に浸かっている自分の足腰をみると無数の気泡が付着している。炭酸ガスだ。これほどの数の気泡が付着しているのはいままで見た事がない。おそれいった。おまけに掛け湯のできるたまり湯の蛇口には源泉と書かれ、なんと正々堂々と飲用できる証しのカップが置かれている。早速一杯いただくことにしよう。


店主が描いた?不滅な温泉マークは世界共通?




韮崎旭温泉に到着した夜の7時過ぎ。車のヘッドライトなしでは身動きが取れないほどの闇の中。辺り一面は田んぼか畑といった環境だ。温浴施設としては首都圏に暮らす我々の概念はまったく通用しない立地だ。カーナビの案内が終了しても周囲は真っ暗でネオンサインもなく、より詳細なグーグルマップがなければ車をどこに向けて走らせてよいやら途方に暮れて辿り着くのを諦めていただろう。なんとも人間を正直な気持ちにさせてくれるような長閑な雰囲気の中に韮崎旭温泉はある。



闇の中に建つ旭温泉は温泉マークがなかったら全く温浴施設か不明だ





2016年1月23日土曜日

角煮うどん(吉田うどん) ⭐️⭐️

●うどん屋源さん 銀座店 〔山梨県甲府市中央〕


甲府界隈で数店舗の吉田うどんの店を構える「源さん」の繁華街にあるその名も銀座店。ありがちなチェーン店を想像してお店の前にホテルで借りた自転車で乗りつけ店内に入ると驚いた。決して広いとはいえない細長い店舗の客席はカウンター席のみ。その中で切り盛りしている人はたった1人の元美女。うどん屋というよりは小料理屋の女将さんといった出で立ちである。

カウンターに腰掛ける客は若い男女のカップルが3組。時間は土曜日の夜9時前で、いずれもデート帰りの一杯呑んだ後の腹ごしらえといった雰囲気だ。これは入った店を間違えたのではないかと思うほど「うどん屋」らしくない。店内の壁に無造作に貼り付けてある貼り紙にある店名「源さん」を何度も振り返りながら確認してしまった。予想外の展開に少し動揺する干支が申の年男は47歳1ヶ月。まだまだ青い。

さて何を注文しようか。その貼り紙付近の壁に無造作に吊り下げられているメニューを見てまた驚いた。なんとメニューは全て英語で書かれている。大きく深呼吸して落ち着いた素振りでそのメニューを片手に、ひとりカウンター席につく。ふとカウンターの端のほうに目をやると、そこにはもうひとつのメニューが日本語で書かれて置いてあった。

日頃、呑みつけない私が駆けつける店は食事がメイン。数店舗を展開するお店の店構えといえばいたって画一的で面白味は全くないのが常。マニュアルの言葉を投げかけてくるロボットのような若者店員が目立つ首都圏のお店に慣れている者にとって、女将さんの家庭的な対応が、ただ腹ごしらえに「うどん」を食べにきた小生にとってはとても新鮮に感じる。

さて改めてメニューを拝借。「かけうどん」が500円とメニューの下のほうに書かれている。「天ぷらうどん」はプラス80円で楽しめる。これは小生にピッタリの庶民的なお店だ。もっとも「うどん」とはそんなものである。それを見て少し落ち着いた小生は、ふとメニューのもっとも目につきやすい最上部に書かれている「角煮うどん」に目が釘付けになる。

「限定メニュー」とうたわれている「角煮うどん」は「かけうどん」の倍の値、なんと980円とかかれている。同じトッピング形式と思われる「天ぷらうどん」とは400円もの差がある。これはコシのある「吉田うどん」の上に、熟成された味の濃い脂ののった豚のバラ肉の塊の山が溢れんばかり覆いかぶさっているに違いない。

直感で即決。ここは思い切って「限定メニュー角煮うどん」を注文することに決めた。それを聞いて女将は角煮があと1食だけ残っていると言ってくれた。これは素晴らしい。女将は10分程待ってくれと言う。これは10分間で角煮をあたため更に熟成させるのか。期待は胸いっぱいに膨らみ始めた。

「はい、おまたせ!」の声がかかる。カウンターの一段上の配膳台に置かれたどんぶりをドキドキしながら覗き込むように見て驚いた。なんと「うどん」に覆いかぶさっているその姿はドッシリとした存在感抜群の角煮のブロック肉ではなく、まるで麺棒で均一に薄く伸ばされたようなペラペラの、、いや、、、ぺラ、、ぐらいの長身のスライス肉だった。

●「限定!角煮うどん」 980円