ラベル ONSEN and SENTOU の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル ONSEN and SENTOU の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2018年9月2日日曜日

足柄峠・金時山・宮城野温泉

昼過ぎには雨が上がると見込んで、朝はゆっくりと8:20発の自宅マンションバスに乗車。目指すは御殿場線の足柄駅。JR足柄駅は静岡県、小田急の足柄駅は神奈川県にある。足柄ブランドを静岡と神奈川で奪い合いか。神奈川県には南足柄市という名称があるが足柄市という名称は無い。。


この夏に全駅制覇して手に入れたポケモンのスイカ入れを首からぶら下げる泉


雨上がり後にトレイルをスタートしたいので、国府津駅で30分以上の待ち合わせも長くは感じられなかった。外は強雨そのもの。。


幸運にも予定通りに足柄駅に到着した時には雨がすっかり止んでいた。舗装路から砂利道の林道、足柄古道を通り再び舗装路で約1時間のジョグで足柄峠、足柄城址に辿り着く。距離にして5kmほどか。

海抜331MにあるJR足柄駅は静岡県小山町にある 県境の足柄峠は海抜759M


登山経験は豊富だが初めてのトレランに少し緊張した趣の泉

登山要素があるのは足柄峠から金時山山頂に辿り着く手前1km程度。ここからは車両が進入して行くことはできない。山頂の茶屋へ物資を運搬するロープウェイが登山道沿いに姿を現す。登山道は鋼製階段が幾度と無く登場し、数年前の韓国登山を思い出す。ここで今日ようやくハイカーとすれ違う雨上がりの日曜日。

金時山に向かう霧がかかる林道で鹿ファミリーに出逢う

足柄駅から約2時間。金時山山頂は思いのほか数グループのハイカーがランチタイムを楽しんでいる。テーブルのあるベンチでスナックを口にほうばり、空腹を紛らわして一路、箱根方面の下山口である金時神社を目指す。そう、お目当ては未湯(未踏)、宮城野温泉。

標高1212M 今日はお茶屋さんは雨天のためお休みでした



町外者は650円 こども300円の素朴な浴場

思ったより短時間で全行程を走破できた。宮城野16:05発のバスに乗り、自宅に18時過ぎに帰宅することができた。少々デキスギの泉、小3男子、初トレランでした。


全行程17kmの金太郎トレイル



2016年1月31日日曜日

韮崎旭温泉 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

◉山梨県韮崎市旭町  〔ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉〕
大人600円 閉店20:00

つつみこむような優しい40℃の源泉が湯口から勢いよく浴槽に注がれている。これは長湯するには極上の泉質と湯温である。浴槽の深さも深すぎず素晴らしい出来栄えだ。湯舟に浸かっている人々は浴槽の縁に身体をあずけ皆一応に湯舟の中央に向かって両脚を伸ばしてくつろいでいる。

よく観察すると浴槽の縁に置いたタオルを枕代わりにして後頭部を基点に全身のバランスを取っている。これは基本的な浴槽での極楽の姿勢の一つだ。浴槽に仰向けになった身体の重さは湯舟に注がれた良質の湯が足腰に代わってそれを支えてくれているようだ。

まるで湯舟の中でプカプカ身体を浮かせているようなこの姿勢は常日頃、全身を支えてくれている足腰がつかの間の休息をしているようにも見える。早速右へ倣えと持参のタオルを浴槽の縁にセットしてそれに頭をあずけ全身を湯に委ねる。枕の浴槽の縁からはふんだんに湯が流れ落ちていく。これはまったく気持ちがよく、これほど贅沢なものはない。



源泉が注がれる湯口まわりの浴槽は見事に褐色に変色している


ふと湯に浸かっている自分の足腰をみると無数の気泡が付着している。炭酸ガスだ。これほどの数の気泡が付着しているのはいままで見た事がない。おそれいった。おまけに掛け湯のできるたまり湯の蛇口には源泉と書かれ、なんと正々堂々と飲用できる証しのカップが置かれている。早速一杯いただくことにしよう。


店主が描いた?不滅な温泉マークは世界共通?




韮崎旭温泉に到着した夜の7時過ぎ。車のヘッドライトなしでは身動きが取れないほどの闇の中。辺り一面は田んぼか畑といった環境だ。温浴施設としては首都圏に暮らす我々の概念はまったく通用しない立地だ。カーナビの案内が終了しても周囲は真っ暗でネオンサインもなく、より詳細なグーグルマップがなければ車をどこに向けて走らせてよいやら途方に暮れて辿り着くのを諦めていただろう。なんとも人間を正直な気持ちにさせてくれるような長閑な雰囲気の中に韮崎旭温泉はある。



闇の中に建つ旭温泉は温泉マークがなかったら全く温浴施設か不明だ





2016年1月23日土曜日

ほったらかし温泉 ⭐️⭐️⭐️⭐️

◉山梨県山梨市矢作 ほったらかし温泉(公式サイト)

今シーズン最強の寒波到来。沖縄でストーブが売り切れた週末。土曜日の午後発表の明日にかけての天気予報は天気予報の枠を越えてニュースになるほど「大雪どころか大荒れの天候」と大々的に注意を促す、いや警告に値するほどの報道ぶりであった。

幸か不幸か明日の日曜日は朝から山梨の甲府で仕事だ。明日の早朝の交通手段を考えると現地前泊をしない理由は見当たらない。タイミングよく1週間前に車のタイヤをスノータイヤに交換しチェーンも購入したばかりである。これは車で行くしかない。

生まれて初めて履くスノータイヤでワクワクとドキドキが交差する。甲府までの道のりを考えると途中寄り道しない訳がない。地図を片手にしばし考えるも、迷うことなく途中の山梨市にある「ほったらかし温泉」に立ち寄ることを決めた。

かれこれ10年近く経つだろうか。「ほったらかし」というネーミングに心打たれたものの、なかなか行く機会に恵まれなかったが、こうして大荒れの天気予報の晩に一路「ほったらかし温泉」の温もりを目指す事になった。スノータイヤとカーナビだけが頼りである。


スノータイヤの性能は如何に


中央道の勝沼ICからJR山梨市駅を経由して山を登る。未だ降雪はないが行き交う車は僅か数台。山登りの道はいつしか未舗装路となり山の奥へと入り込む。こんな辺境の地にある温泉はかなり期待できると気分は最高潮に達するも、たどり着いたのは一件の平屋の民家、、いや電灯が灯っていない。どうやらこれは空き家のようだ。

空き家の脇には工事用のバリケードが行く道を一部封鎖している。しかしその横に車が通り抜けるだけの巾は十分空いていて車が進入するには問題なさそうに見える。このままバリケード横を通り抜け直進するも道がつながっているのか、はたまた空き家の庭先に入り込みスタックするか暗闇でまったく見当がつかない。

ここで登場するのが昨年より多用しているグーグルマップである。現在地から「ほったらかし温泉」までは目と鼻の先で、どうやらルートを間違えてかなり大回りしてここまでたどり着いたようだ。このまま少し前進すればマップには道路がありその道路を進めば目的地に辿り着くようだ。

下車して歩いてみるのもよいがここは思い切ってハンドルを握ったまま直進する事にした。バリケードを横目に進んでいくと1台の建設用重機が見える。ここは工事現場なのだろうか。遠く前方にはうっすらと電灯の灯りが家屋からもれるのがはっきりと見えた。

未舗装路は直進しているうちに脇からの舗装路と合流して大きな青空駐車場に辿り着く。ホッとした瞬間だ。特に看板もないが「ほったらかし温泉」の駐車場であることは間違いなさそうだ。車が300台は止められるほどの広さの青空駐車場に車は僅か5〜6台。こんな夜に温泉の温もりを求めているのはわたしだけではなかった。


施設内をうろうろしていると屋外に見事な壁画があった


施設の中にはどうやら2つの浴場があるようだが、本日は悪天候の理由で「こっちの湯」は閉鎖されていた。未だ実際に悪天候にはなっていないが止むををえまい。もう1つの浴場は「あっちの湯」となんとも素朴なネーミングに思わず笑みがこぼれる。案の定、事前調査をしてこなかったので2つの違いはよくわからないがどちらも大差はないと考えるしかないだろう。(豊富温泉の例があるので事前調査は怠らないようにしなければならない)

施設内(といっても雨が降れば濡れる外部だが)を少し奥の方に歩いて行くと簡素なつくりの脱衣場のある家屋にたどり着く。中に入ると番頭さんが一人ポツンと寂しげに腰掛けている。全体としては山小屋のような雰囲気の作りで、最近めっきり見なくなったストーブが小屋全体をあたためてくれている。意外にも入場券は自動販売機で購入。番頭さんの仕事はそのチケットを確認するだけである。料金は800円。ロッカーを利用すると100円玉が必要だ。

浴場は小屋の屋内に湯舟が一つ。屋外は檜風呂と、甲府盆地が最前列から見渡すことができる広い岩風呂からなっている。岩風呂はかなり広く、規模は比べ物にならないが草津の西の河原露天風呂に次ぐ広さだ。適温の場所を探して岩風呂の好位置を探すのもよし。眺めのよい場所で浸かるのもよし。半身浴もできる浅いスペースもある。

情報によるとphの値が10を超えているそうだが個人的にはそこまでの高い数値には感じられなかった。感じるのは消毒臭で岩風呂より小さい檜風呂は顕著で正直その浴槽には浸かっていられないほどだ。しかし視界がひらける高台からの素晴らしい景色に加え、日の出前からの早朝営業を年中無休で継続していることには頭がさがる思いだ。ここの露天風呂でのご来光は格別であろう。大人気で常に混雑している「ほったらかし温泉」であるが、今夜は人もまばらで今年初の温泉はとてもゆったりと過ごすことができた。

追記
あとでわかったことだが「ほったらかし温泉」のカーナビのナビゲーションが間違っているそうだ。自家用車で向かう多くの人が道に迷う。そういえば途中の路上に看板があり「ほったらかし温泉、、、カーナビ、、、」と書いてあった。よく確かめもしなかった自分に落ち度があるので文句を言うつもりは毛頭ないが、このようなカーナビの間違いは何処に指摘してあげればいいのだろうか。それにしてもカーナビのアクシデントはあったものの、降雪はなく、路面も積雪が無い状態で無事に行き来できたので今年初の温泉探訪、まあよしとしよう。




2015年8月18日火曜日

豊富温泉とサロベツ原野


豊富温泉  ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
◉北海道天塩郡豊富町〔ナトリウム-塩化物泉・炭酸水素塩泉〕

クッチャロ湖から道北を横断する県道を豊富町に向かってドライブ。オホーツク海に別れを告げて比較的平坦な山道はすれ違う車が僅か数台、車無し、信号無し、人影無し。動物注意の交通標識は多かったが、蝦夷鹿は現れなかった。途中二件あった牧場の牛たちが妙に心に残る。大自然の中に置かれた人は他に見るものもなく人間は動物と同じ生き物なんだと当たり前のことを思う。

朝9時前には目的地の豊富温泉に到着する。湯場は二箇所あると告げられ早速見に行くと廊下を挟んで入り口は異なる。つまり二箇所の浴場を楽しむには一度脱いだ衣服を着、また脱いで二つ目の浴場に入るといった手間のかかる行程が必要になる。温泉場の人によるとぬる湯と普通湯の違いだけだでぬる湯は湯治向け、一般客は普通湯を強く勧められた。おまけにこの時間のぬる湯は湯治客に占領されていると聞く。案の定、覗いてみると常連さんと思われる湯治客10人位が丸く円弧を描き湯に浸かりながら談笑している。それに水を差すように脱衣場の戸を引き中を覗き込む小生。20以上の視線が一気に集まる。気まずい雰囲気だ。鶴の恩返しとはいかないが、まるで見てはいけないものを見てしまったようでぬる湯に入るのはあきらめパスしてしまう。

一般客向けの湯場は先客が2人。湯の色は薄めの褐色でその湯の表面に油がプヨプヨ浮いている状態だ。石油臭には慣れてはいるが、ここまで油分が湯に混ざっているのは初体験で笑みがこぼれる。湯に潜り存分に北海道の素晴らしい温泉を楽しむ。至福のひとときだ。子どもに急かされ湯場を離れるも、やはり気になる湯治湯のぬる湯。帰りがけに再度覗くも、湯治客に占領されている状態は変わっていない。まあ湯の温度の違いだけならいたしかたあるまい。自分にそう言い聞かせ温泉場を後にする。

この温泉場は温泉マニアのサイトで知り駆けつけたわけだが、コメントを読んでしまうと湯の楽しみが半減されてしまうため、大半の内容は実際に湯を楽しんだ後に読むことにしている。今回も温泉場名、場所とオススメ度の星マークしか確認しなかった。

帰京して温泉マニアのサイトを読んで驚いた。湯治客用の湯と一般客用の湯は全く異なる湯で、しかもそのコメントを読んだら最後、湯治客用の湯は特筆する湯で絶対に入りたくなるようなことが書かれているではないか。。。。うううっ。。やられた。

今考えると温泉場の人から見ればわたしは子ども連れのごく普通の流れの典型的な一般客で、とても泉質にこだわってこの温泉に来ているようには見えなかったであろう。普通湯を勧めた温泉場の人を責めるつもりはないが、道北まで来て目の前にある温泉を一つ逃した自分に腹が立つ今。再訪して湯治湯に入ることを夢見る。


⚫︎天然石が磨かれている状態を見るかぎり温泉の濃度は聞くまでもない


2015年8月17日月曜日

クッチャロ湖キャンプ場と浜頓別温泉

クッチャロ湖キャンプ場

オホーツク紋別空港から海沿いの国道を北上すること約100キロ。浜頓別は稚内に至るドライブの中継点に位置し、温泉とキャンプが同時に楽しめる施設があるので迷うことなくここで一泊させていただくことにした。

羽田空港の保安検査でキャンピングガスを没収されキャンプ場での食事に若干の不安があったが、幸運にもアウトドア用品も扱うスーパーマーケットに巡り会いキャンピングガスと食料を買い込むことができた。これでキャンプ場での食事には支障がなさそうだ。

途中、サロマ湖と興部町に寄道。オホーツク海を臨むドライブにエアコンは不要で、窓を開けて受ける風が涼しげに私たちを迎えてくれた。東京の距離1キロは横浜の5キロ。東京の1キロは北海道の10キロ。そんな車中での会話のなか、窓からの景色は、あたり一面に広がる草原と牧場。道路の巾もゆったりと作られていて車の走るスピード感覚も内地とは異なり、60km/hで走っているつもりが80km/hは出てしまうといった具合だ。

⚫︎牛と海そして草原 生まれて初めて見るこの景色はまさに異国情緒



●麦畑 生まれて初めて見るこの景色はまさに異国情緒


初めて北海道の地を踏む息子、はじめは初めて見る車道境を示す矢印に興味津津。雪国ゆえの事とは理解できるが赤色と黄色があり、違いを質問されるが正直よくわからない。信号機は雪が信号機の上に積もらないように配慮されているのか、もしくは制限速度表示もない国道ゆえ、スピードを出すドライバーが多いため安全を配慮してかわからないが信号機は全て縦型で勿論赤灯が上にある。北海道はまるで異国。私もなにを隠そう僅か半年前に初めて北海道を訪れたばかりの北海道初心者である。

クッチャロ湖のキャンプ場には夕方の6時頃に到着。日が暮れるまでにキャンプ場で借りたテントを張らなければならない。テントはテント内で直立できるほどの高さをもつ大きさでファミリー向けの5人用といった具合でかなり大きい。このような大型テントは当然今まで張ったことがない。正直、小型のテントでさえ前回の海外旅行のチリ、パイネのトレッキングで人の手を借りて張った経験しかない。学生時分からテントを張ったオートキャンプ、山中のテントには興味はあったが時間と金に余裕がなく、これらの活動は将来の楽しみに取っておいたもののひとつであり、なにを隠そうまったくのキャンプ初心者である。





浜頓別温泉 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
◉北海道枝幸郡浜頓別町クッチャロ湖畔〔ナトリウム・塩化物・炭酸水素塩泉〕

見馴れた褐色の湯の浴場は平成の世に作られたいたって平凡な公営の温泉浴場「はまとんべつ温泉ウイング」はクッチャロ湖湖畔に建つファミリー向けのホテル併用温泉である。夏休み期間中とあって道内からのファミリーを中心とした多くのお客さんは浴場内で夕飯前後の湯を楽しんでいる。

併設されている湖畔のキャンプ場の管理はこちらで行われていて、秋の気配がする肌寒い陽気といつの間にか寒がりになっていた子どもの体調も重なって毛布を一枚レンタルした。キャンプ場は広いこともあり人はまばらに見えるが数えるとそれでもしっかり30人はいた。車、バイクそして自転車と交通手段は様々だ。決して広くはない浴場にも30人近くの人が所狭しと広大な北海道にしては少し密度が高い。

空が臨める露天風呂でもあれば人口密度もさほど気にはならなくなるものだがそれも無く期待も半減される。そんなことはおかまいなしに子どもはこれから入る湯舟を前にニコニコはしゃいでいる。動く速度も子どもらしく小走りだ。そんな姿を見ていると湯の質は二の次。父親として子どもと旅行できる喜びを噛み締め湯舟に浸かる。

浴槽にゆっくり浸かり右手で湯を揉む。その感触に驚く46才。見事な弾力性に富んだ湯で素晴らしいヌルヌル感。これは恐れいった。完璧にやられた。いたって平凡な湯と思いきや、口元が緩む。薄口醤油で作ったタレのような絶妙なトロミは浴槽に浸かる老若男女がまるで中華丼の具に見えてきた。

今夜はキャンピングガスでマカロニを茹でミートソースを加えてあたためる。そしてワインと乾き物、スナック菓子で一杯。締めはカップ蕎麦。帰宅したら自炊メニューの中華丼に副題として「浜頓別温泉タレ」を付記しよう。中華丼のたびに思い出す温泉は驚きも加点され堂々と星5つとさせていただく。北海道の温泉恐るべし。

⚫︎倒壊寸前のファミリーテントは強風にあおられながらも朝までこらえてくれた




2015年5月5日火曜日

石和温泉 ⭐️⭐️⭐️⭐️

◉山梨県笛吹市石和町〔単純泉〕


石和八幡宮の裏手にあるその名も「石和温泉」は調べるところ石和温泉街にある唯一の公衆浴場である。入口の看板には正々堂々「石和温泉」とあるものの、ドアをくぐると間違えて大衆食堂に来てしまったかと錯覚するほど浴場の雰囲気は全くない。数えるほどのテーブルにカウンター越しの厨房と瓶ビールが並んだショーケースの冷蔵庫を見る限り、日が暮れれば明らかに大衆酒場だ。

到着した夕方の5時頃には既にできあがっている近所の親父たちが2人ほどビールを呑んでいる。風呂上がりの一杯か、一杯やりに来ているのか全く区別がつかない。そのテーブルの先に目をやると引戸があり、どうやらその先が浴場のようである。店主らしい親父に少し遠慮がちに「風呂いいですか」と声をかけ、自分が風呂目当てであることをアピールして財布を取り出すと「380円にまけとくよ」の一声。本来は400円らしい。たった20円のオマケが場違いなところに来てしまっていないか不安な小生の心を安堵させてくれた。

浴場は一般的な銭湯に比べると少し小ぶりだが電気風呂と水風呂を含み浴槽は3つある。しかもサウナまで小さいながらも設置されている堂々とした設備である。泉質は石和らしいとても柔らかい質感で湯温もその泉質の特長を活かしたアツ過ぎずヌル過ぎずの適温で完璧だ。水風呂もしっかりと温泉が使われておりツメタ過ぎず完璧な仕事だ。カランから注がれる湯はほのかに香る硫黄臭が鼻をくすぐる。すべてが柔らかく包んでくれるようなこの「石和温泉」は少し疲れた小生の身体をやさしく癒してくれた。

⚫︎見事な逆さ富士に菖蒲の湯。ドアを開けるとコンクリート製の塀にこんにちは。

2015年3月22日日曜日

ホテル湯王温泉 ⭐️⭐️⭐️

◉山梨県甲府市住吉〔単純泉〕


ホテルのフロントの目前に銭湯をまるごと移設してきたようなつくりは、松竹錠の下駄箱を挟んで左に男湯、右に女湯の暖簾が垂れている。一石二鳥のこの空間はまさに甲府出張の温泉好きなわたしのために生き残ってくれていた昭和の温泉ホテルと言うことができる非常に合理的な施設である。さらに驚いたことにホテルの外壁の一部であるガラスには様々な催しを記す「張り紙」があり「超初心者向けパソコン教室開催中」等、宿泊以外にも温泉銭湯の集客力から地元住民との横のつながりは強そうだ。
⚫︎立派なホテル正面口の奥には新館もあり決して規模は小さくない


フロントでは旦那が問い合わせ客の電話対応中。そこで先ず浴室入口周辺をチェック。その後、辺りを見渡すと壁に埋め込まれたショーケースのような展示スペースに甲冑やら何やら無造作に並べられている。ロビーには柱時計。。。これは正真正銘の正統派、昭和の田舎ホテルである。わたしの世代には懐かしいやら恥ずかしいやら、電灯もうす暗く、まるで実家にいるような感覚で非常に落ち着くのはわたしだけではないだろう。

チェックインは前金制で税込3,600円を支払う。甲府から身延線で「湯王温泉」がある甲斐住吉までの交通費190円×2を含めても4,000円とユースホステルなみの価格である。しかも部屋はもちろん個室でベッドは清潔なシーツでしっかりとベッドメイキングされていて、TV、WI-Fi、冷蔵庫、便器のあるユニットバス、浴衣そしてなんと「ちゃんちゃんこ」まで用意されている。これには平伏した。少年時代に連れていかれた宿で着た覚えのある「ちゃんちゃんこ」にそっくりだ。色柄、質感までまったく同じもののように思えてならない。およそ40年もののビンテージ。泣ける。
⚫︎昭和時代に流行った色のカーペットに織物調の草色ちゃんちゃんこ


さてお目当ての温泉は午前6時から午後10時まで。時間を有効に楽しむことを考えると夜間は外出して楽しみの温泉はチェックアウト前の朝風呂とする勇気ある決断。外出といっても向かう先は近隣の温泉銭湯である。足はホテルの貸し自転車。貸し自転車が準備されているホテルは本当に有難い。出張先のホテルの決め手は金額はもちろん貸し自転車の有無がとてもとても重要な要素だ。

チェックインの時に朝食をホテルに依頼するか少し迷った。金額は700円となんとも判断に迷う。夕飯にありつけない場合も想定すると朝食はしっかりと取りたい反面、旅先で満足する食事にありつけない場合は断食やパンをかじる程度で済ますことが多い自分を知っているからである。今回、ホテル側には申し訳ないが満足できる朝食ではなさそうなのであっさりとパスすることとした。

⚫︎旅先で得意の自分撮りが出るときは上機嫌の証し


翌早朝、近くの住吉神社まで散歩に向かう。フロント目前の浴場下駄箱前には男性の靴が一足、朝湯を楽しんでいることを知らせてくれる。ホテル滞在客は多く見積もっても10人程度だろう。散歩から帰れば浴場にはもう誰もいない貸切風呂を楽しめるに違いないとたかをくくって散歩に出かける。これから出逢う新しい温泉に期待して散歩から帰り、すぐさま浴場へ向かう。ところが下駄箱前に着くと靴はもう一足増えていた。先に入っている人は早朝から長湯な男だ。と余計なお世話と思いながらどんな面か見に浴場に入ると驚いた。なんと浴場には7人位の人が湯を楽しんでいる。靴は皆、行儀よく下駄箱におさめていたのだ。しかも男たちはほとんど早朝風呂を目当てに自宅からやってきた先輩群オヤジ達である。いっぱいやられた。これが地元に根ざした素晴らしい複合施設「湯王温泉」の朝である。

湯は無臭で柔らかな鉄錆味がする淡い黄褐色で飲用可の印であるカップが湯出口の龍の頭に置かれている。水栓から注がれる湯も温泉の印で金具が褐色に染まっている。ぬるぬる湯、ぬる湯、標準と3つの浴槽に加えて幼児用プールのように浅い浴槽が1つ打たせ湯とともにある。設備は全体的に古さを隠せない。いや隠そうともしていない堂々たる姿で年輪を重ね続けている。豊富な湯量は自噴で毎分400リットル、30秒でドラム缶1本が満タンになると誇らしげに書かれた看板がエレベーターと浴場内にある。泉質のインパクトは無いが、日常の湯治風呂として周辺住民への効用は絶大なものがあるに違いない。一見くたびれたあやしいホテルに見える「湯王温泉」だが、ホテルの枠を越えたある意味最先端多様なサービスを提供する素晴らしい複合施設。これからも地道な継続した活躍を期待したい。

⚫︎なんとユニットバスの蛇口から出るお湯は正真正銘の温泉


2015年2月12日木曜日

朝日湯(4)⭐️⭐️⭐️⭐️

◉神奈川県横浜市鶴見区〔重曹泉〕

北海道旅行の締めに京急の生麦駅で途中下車。銭湯の閉店が相次ぐ時代、数年ぶりに訪れる「朝日湯」に若干の不安はあったが、第一京浜沿いの堂々とした店構えは健在だ。のれんをくぐり中に入ると番頭のお祖母さんが若がえり、あと取りの女将さんと思われる人が番台に腰掛けていた。「幼児はサービスしておきます」と5歳児は無料にしてくれた。(横浜市の銭湯は何処でも幼児は無料である)

⚫︎信号待ちで全てのドライバーが一目する朝日湯は第一京浜名物



ここはいかにも昔ながらの銭湯といった建物の造りで、正真正銘の木造。脱衣場の内壁は漆喰塗りで天井が高く白い壁と茶色の木の部分のコントラストが目をみはる。木部の茶色の塗装は最近施したようでまだまだ営業していく意思の表れと見え大変喜ばしい。
⚫︎格天井のある広々とした空間はまるで御屋敷の中にいるようだ


いつ来てもお客さんが絶えなく、平日の夕方どきもあってか小学四年生が3人で湯を楽しみに来ている。子どもたちだけで銭湯に入りにくるとは東京ではあまり見ることができない光景だ。うちの長男坊も同じ小学四年生だが、とても子どもたちだけで銭湯に行くことはできそうもない。朝日湯がある鶴見区はわたしの自宅がある東戸塚と同じ横浜市だが、東戸塚は新興住宅街で住宅はマンションだらけで緑はあるが何かと窮屈感がある。もっとも銭湯自体が皆無だ。

さてお湯は典型的な黒湯で濃度は高い。浴槽は全部で4槽。1つを除き全てに温泉の黒湯が注がれている。銭湯特有のレバー式の太い水栓から注がれる濃い黒湯はとても気持ちがよい。中でも低温の黒湯(水風呂の温度)は珍しく何度でも入ってしまう。水風呂のといえばサウナがつきものだが、オプションで100円必要で、わたしを含め利用している人はいない。

そして朝日湯のウリは何と言っても、蒔きで湯(黒湯温泉)沸かしていることだ。町の大工さんが不要になった木材をリヤカー(今の時代は小さくても軽トラックだろう)で運び込みそれを燃料としているのだ。わたしも子供のころ親父(大工さん)の手伝いで不要になった木材を実家近くの銭湯(非常に残念ながら一昨年前に廃業)に持ち込んだ思い出がありとても感慨深い。蒔きで沸かしたお湯は煮え立つように熱せられ、その湯に浸かっている身体は溜まった老廃物が根こそぎ身体から蒸発していくような心地よさと湯上り後のポカポカ感を味わうことができる。ボイラーで温められた湯に慣れすぎている身体にはとても新鮮で気持ちがよい。多くの銭湯がボイラーに転向していった時代をはるか通り過ぎ、近隣住民の理解もあってだろうーーー今なお蒔きで湯を沸かし続けていることは賞賛に値する。

⚫︎裏口に積まれた木材。この隣の空地には木材が整然と積み重なり順番待ちしていた。

2015年2月11日水曜日

茅沼温泉 憩いの家⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

◉北海道川上郡標茶町茅沼〔ナトリウム−塩化物泉〕

釧網本線の茅沼駅は現在は無人駅だが歴代の駅長が丹頂鶴に餌付けしたことで丹頂鶴がくる駅として有名らしい。塘路駅から午後2時半の1両編成の列車に乗り込み整理券を引き抜く。整理券には番号と乗車駅が記されている。ワンマンカーの列車は乗務員が一人で運転はもちろん、ドアの開閉と乗客の運賃支払い前の両替にも対応する。
⚫︎茅沼駅の無人駅舎。駅舎の向こうにプラットホームそして単線の釧網本線の線路がある。さらに線路の向こうには見渡すかぎりの広大な釧路湿原が広がる。


茅沼駅で下車する人は誰もいない。僅か20分くらい前に釧路行きの臨時列車のSLが大きな汽笛と白と黒色の煙りをモクモクとはき出している。丹頂鶴が何処かへ一掃されてしまったか。話半分としても鶴がいることを少しは期待していたので、あたりをキョロキョロ見渡したが残念ながら鶴の姿は見えない。見えるのはあたり一面の雪景色と閑散期の冬のためか、営業していない木造りの家のレストランと郵便ポストがあるだけだ。集配時間を確認すると集配は1日1回。ポストマンは50ccの単車か軽自動車か、そういえば北海道にきて軽自動車をあまり見かけていない気がするな。そんなことを考えていたら凍結している路面でおもわず滑って転んでしまった。転び方が見事なウルトラEの中年オッサン風でとても悲しい。

気を取り直して線路と湖に挟まれた雪道をゆっくりと5才の次男坊と手をつなぎながら歩くこと30分。鉄筋コンクリート造の憩いの家は二階建ての素朴な施設だ。送迎マイクロバス2台と釧路ナンバーの地元の乗用車が10数台、広い駐車場に陣取っている。人っ子一人いない道を歩いてきたので人の気配と強固な建物は心強い。建物へのアプローチは車道だけで歩いてくる人のことは考慮されていないか雪で目に入らないかどちらかだろう。ゆったりとした曲がり角を曲がってようやく入口が見えたその瞬間、まさに自分の目を疑った。なんと丹頂鶴が4羽、仲良くふつうに歩いているのだ。温泉宿の目前で見かけるとは相当人馴れしているのか。すかさずカメラを取り出し写真とビデオにおさめる。長く細い脚に白いボディのスタイル抜群の丹頂鶴が銀世界を背景にゆったりと羽根を大きく広げて飛び跳ねる姿は抜群だ。おそるおそる近づくと少しづつ逃げていく。入浴前に体温は急上昇。文句なし大満足である。

⚫︎湿原の境界線までやってきた仲良しの丹頂鶴ファミリーが目の前を横切る。


さて肝心の温泉である。脱衣場はほのかな硫黄臭で期待が高まる。内風呂は打たせ湯と岩風呂を含めて4カ所。すぐさま突き当たりの露天へめざし、その扉を開けると期待通りに景色は見事な銀世界。白樺の木と凍りつくシラルトロ湖をのぞむ露天風呂は感無量。泉質は柔らかな塩味で無色。肌にヒリヒリ感は無い。湧き出し47℃の源泉かけ流しの浴槽での温度は42℃前後で見事に適温。それに加えて入湯料450円でのこのパフォーマンスとは北海道の温泉おそるべし。

⚫︎白樺の木と凍りつくシラルトロ湖をのぞみながら源泉が波波と放流される露天風呂

2015年2月9日月曜日

十勝川温泉 富士ホテル⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

●北海道河東郡音更町十勝川温泉〔単純温泉 弱アルカリ性 PH値:7.89〕


十勝川温泉の宿はどこでも日帰り入浴客を受け入れてくれる。選択肢が多いとそれを選別するのは大変な作業だが温泉好きにはまた楽しみのひとつでもある。数ある中から専用源泉を保有している湯元かけ流しの宿といった素朴な振る舞いの「富士ホテル」を選択。JR帯広駅より十勝バスで約30分。観光客の大半は大きなホテルで下車したが、残る1人の軽装な中年男性は、わたし同様「富士ホテル」で下車。すぐさまホテルの受付で日帰り入浴チケットを購入している。これは期待ができそうだ。植物性のモール温泉を初体験といった理由もあり、まるで久々に出逢う美女に胸がドキドキ高揚しているようだ。
⚫︎今回の旅の主役は5才の次男坊。良質な温泉地を通過している旅だが此処帯広でひと息だ。

少しだけ緊張した趣でゆっくりと脱衣場にはいる。上等品を捕まえたような感触は何もないが浴室に入ると硫黄と鉄錆の混合臭がほんのりと鼻をくすぐる。まったく上品な印象だ。湯は薄い茶褐色で弾力性があるヌルヌルというよりもスベスベといった具合の微弾性。植物性のモール温泉と言われなければ判別は難しい。

先に浴室に入った中年男性は狙い通りの温泉マニアだ。浴室に持ち込んだメモ帳にボールペンで丹念にメモ書きしている。明らかにわたしよりも年上だが、まわりを意識している様子で少し恥じらいがあるようだ。浴室は1つの浴槽でこじんまりとまとまっていてサウナと小さな水風呂が付属する。午後2時という時間帯もあって湯客は5人程度。浴槽に誰もつかっていないタイミングでその中年男性は透明の防水ケースから取り出した小型カメラで浴槽に流れ入る源泉にシャッターを切った。

2015年2月2日月曜日

トータス温泉⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

山梨県甲府市中小河原町〔炭酸水素塩泉〕

JR身延線の甲斐住吉駅近くの国道20号線と精進湖に至る国道358号線との交差点そば。貸自転車のサイクリングも甲府駅から少しずつ距離を稼ぎ、直線で約4キロの距離まできた。この辺りに温泉が、、、と辺りを見渡しているとトータスマンションとの看板を発見。まさかトータスとは地名ではあるまい。すぐさまマンション裏手の北側に自転車で向かうとありましたありました。ちょうどトータスマンションの建物の影の部分にひっそりと建つトータス温泉。見つけました。
⚫︎トータスマンションの裏の日陰にひっそりと建つ“トータス温泉”

受付で昨日も来たお客さんが“今日はゆっくりするよ”と昨日の日曜日の混雑ぶりに受付の昭和の婦人に音をあげていた。トータス温泉の休日は混雑するようだ。これは期待が膨らむ。

湯は薄い茶褐色で鉄錆臭+石油臭+硫黄臭の仲良しトリオだが全体的に濃度が低いマイルドな味わいだ。しかし加えて海に近い地域でよく出逢う塩味が見事にブレンドされていて重厚感があり、まことに素晴らしい湯だ。露天ではその湯の素晴らしさを万民にアピールするための大きな掲示板が大学教授のメッセージといった形で説得力のある地層の断面概略図付きで書かれている。しかし表現が少し誇張されすぎで個人的には良い意味でのB級感が歪めない。


月曜日の午後だが常時5〜6人は入れ替わり客が絶えない。内湯のタイルには上等な温泉の証である茶褐色の湯の成分が薄っすらと付着している。やはり毎日のように温泉に入れば身体も茶褐色に変化していくだろうか。。。湯温は露天を含め“あつ・ふつう・ぬる”に対応した3つの湯舟で満足することができる。なぜ“トータス”という名かは聞くことができなかったが親族経営であることは間違いないであろう。こんな家庭的な温泉銭湯がいつまでもあり続けられることが未来の良い日本の姿のひとつだとつくづく思う。
⚫︎地層の断面概略図を露天風呂に浸かりながら眺め、もの思いにふけると40分が経過していた


2015年2月1日日曜日

遊亀温泉⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

◉山梨県甲府市 〔単純泉〕

一路「遊亀温泉」へ!
湯村温泉郷から地図を頼りに約30分の自転車こぎ。
街路灯もまばらな住宅街の奥に建つ遊亀温泉の遊亀はどうやら地名らしい。

自転車に鍵をかけ早速、戸をくぐり脱衣場に入ると「いいにおいだ」。湯が正真正銘の温泉であることは疑う余地も無い。湯は茶褐色で鉄錆臭+石油臭+硫黄臭の仲良しトリオ。水栓金具や浴室のいたるところが温泉エネルギーによって茶色に染まっている。これは上等品の証だ。もう気分は最高潮である。

浴室では延べ10人位の年配の方が湯を楽しんでいる。浴槽に目をやると湯出口にはカップが置かれている。これは正式な飲料可のサイン。堂々とコップに温泉を注ぎ軽く一口含んだ。温泉では飲料可のサインがなくても口に含んで味見は欠かさないが、カップが置かれている分、さらにもう一口軽く飲み込んだ。確かにうまい。高貴なお茶っ葉があったらこんな味だろうか。これは身体によさそうだ。ペットボトル持参の旦那も目につくので是非再訪時には水筒持参で来なければならないだろう。

桶の音だけが響く浴室の雰囲気が一変したのは刺青の男たちが入ってきてからだった。30代の若者が60代のボスの背中を流す。湯舟の中では自然に会話が弾む。一般社会人の奥歯に物が挟まったような物の言い方に慣れている現代人には歯に衣着せぬ物言いがとても新鮮で楽しく聞こえる。反社会的な集団と指を刺される人たちは、じつはとても人間的であることは間違いない。

子どもの頃に銭湯に行けば必ずいた刺青の男。昨今は「入れ墨お断り」の紙が堂々と貼られているスーパー銭湯ではまったくお目にかからなくなってしまったし、首都圏の銭湯でももはや珍しい存在だ。湯上りの脱衣場では出入口の引戸の調子が悪いのを見つけるとすぐさま引戸を吊り上げ、レールにしっかりとはめ直していた。こんな芸ができる日本人はもはや彼らと建築職人ぐらいだろう。


⚫︎日が暮れると辺りは真っ暗。看板の灯りを頼りにやっと辿り着いた。

明くる朝、甲府のビジネスホテルのシングルルームの3点ユニット(風呂・洗面・トイレ)で用を足す前に便座に腰掛けると突然、鉄錆臭+石油臭+硫黄臭のとてもよい香りが鼻をつく。ビジネスホテルには温泉は無いのにどうして。。。

あたりまえのことだが昨晩、カップにふた口。口から入ったもが体内を巡り、その濃度を保持したまま出るべきところから出てきたのである。このガスはなんとも忘れることができない素晴らしい香りで二度おいしい遊亀温泉あった。



湯村温泉共同浴場

◉山梨県甲府市湯村

2月の寒空の日曜日の夕刻、講師活動終了後さて活動開始である。ネットサイトの情報を頼りに今夜は歴史ある温泉郷「湯村温泉」の共同浴場探訪である。昭和の雰囲気が残る名湯。。。こんなキャッチコピーで紹介される温泉街は時代に取り残された閑散とした温泉街であることは容易に想像できる。しかし、怖いもの見たさである。40代も半ばを過ぎたにもかかわらず相変わらずの性格だ。

情報では湯村の共同浴場は一ヶ所のみで夜9時までの営業だ。路線バスの終バスは既に完了し(日曜日の甲府駅発着の終バスはおそろしく早い)途方に暮れてビジネスホテルのチェックインを済ませると、なんと自転車を無料で貸し出しているとのこと。これは大変ありがたい。ホテル入口に無造作に置かれた自転車は計2台。早い者勝ちで予約は受け付けていない。今時、予約を受け付けていないのは10年以上通っている戸塚の床屋さんとこのビジネスホテルのレンタサイクルか。自転車は何れもママチャリだが、これほどママチャリが有り難く感じたことはない。急いでチェックインを済ませ部屋で着替えること僅か数分。特別急ぐ理由はなにもないのだが、もし、万が一にもその間に他の客に自転車を取られてしまわないか。。。という気持ちがはたらいたのだ。我ながら温泉にかける情熱には熱いものがあるなと再認識した。

甲府駅前より自転車でようやく共同浴場「鷲温泉」にたどり着いたのは夜の7時過ぎ。道路街灯の明かりではっきり分からないが、どうやら建物内の電灯が灯っていないようだ。もしや数分のちがいで夜の7時に閉店してしまったか。これは悔やんでも悔やみきれない。仕方なく明日の甲府界隈探索の目的地の一つに加えるしかないと考えながら建物に近づくと、この建物は「過去の遺産」であると看板が掲げられている。時の流れには逆らえない。すでに営業を止めてしまっているようだ。非常に残念だが仕方ない。。。さて今夜のこのあとのことを考えるとのんびりしてはいられない。旧共同浴場の建物の写真も撮ることもなく次の行き先、夜も営業している近場の温泉銭湯を探すことにし湯村をあとにした。

⚫︎甲府駅前より自転車で15分。レトロな温泉街入口のネオンに期待が募り思わずママチャリと記念撮影。客待ちのタクシーが目前に停車していてシャッターを切るのを少しためらった46歳の冬。

2015年1月25日日曜日

草津温泉(甲斐/甲府市)⭐️⭐️⭐️⭐️

山梨県JR甲府駅から南に約1.5kmにあるその名も「草津温泉」。東の横綱がこんなところで巡業してるのか興味は尽きない。事前情報の取得もほどほどにして、講師活動後に山梨交通の路線バスで10分弱、上石田町で降りると人影もなく辺りは街灯もまばらで1月の夕方6時半過ぎはもう人肌恋しい状態だ。そんな暗がりの通りに煌々と堂々と輝く看板「草津温泉」である。
旧道と新道の分岐点にある「草津温泉」は建て替え後まだ5年程度の建物で、専用駐車場も2〜3か所に点在しているだろうか10台以上はかるく確保できるだろう。規模は小ぶりなスーパー銭湯といった位置付けだが料金は銭湯料金の400円。道路から丸見えの受付の元美女に料金を支払えばもう草津の湯はすぐそこだ。新しい建物は実用主義の鉄骨ALC平屋建て、決して広くない脱衣場には10人弱のお客さんが所狭しと用をしている。浴場内にも10人以上のお客さんが湯を楽しんでいる。

浴槽は洗い場中央に少し広めの湯船を筆頭にあつ湯、水風呂そして小さいながらも露天風呂もあり十分な装備だ。しかも4つの浴槽全てにほのかに香る黄色い湯がふんだんに注がれ溢れ出ていく。源泉かけ流しの文字が踊る。これは素晴らしい。湯温は浴槽ごとに異なりぬる湯からあつ湯までを網羅し、泉質もわずかにヌルヌルと肌がスベスベしてくる。これは気持ちが良い。

さて浴槽をはしごしているうちに気がついたのだが、お客さんが終始無言なのだ。形態は大して変わらない先週訪れた「喜久乃湯温泉」では地元のオヤジ達が元気よく挨拶・会話をしていたのに比べ「草津温泉」では皆知らない者同士か。北と南は下町と山の手か。甲斐甲府探索はまだ始まったばかりである。

2015年1月18日日曜日

喜久乃湯温泉(甲斐/甲府市)⭐️⭐️⭐️

JR甲府駅北口より徒歩10分。銭湯料金でサウナ付!脱衣室も広く昭和の趣がのこりゆったり過ごせる!!無色無臭の鉱泉は僅かに香る程度。浴槽は中央にも配置されている関西型で深さも浅い。地元のオヤジ同士で楽しそうに新年会の予定をたてていたよ。山梨なまりは母親から耳にしていたのでなじみがあるね。源泉水風呂を含め4つの浴槽があるが、何れも加温は控えめで冬の夕暮れ時を駅まで戻る道のりの事を考えると水温調整が物足りなかった。