2015年3月2日月曜日

地蔵尊

山の北側斜面に造成された場所に建つ住宅の改修工事に通うこと1ヶ月。
雨上がりの今朝、現地から雪化粧の富士と青青っとした海を望むことができる。
山はちょっとしたハイキングコースがあり県によって管理されている。

昨日はしっかりとした雨が降ったようで山から流れ落ちる水がちょうど工事現場の脇を小さな沢を形成して勢いよく滝のように流れ、公道の下の排水溝に音を立てて合流していく。その公道は工事現場の隣の家の前で行き止まりになっている。

空気の澄んだ山裾に造成された行き止まりの住宅地の中、
見かけない婦人がその行き止まりの道の方から犬を連れて突然現れた。
婦人は工事現場の家の前までくるとすぐさま引き返し、行き止まりの方向に歩いて戻って行った。

気になり後をつけていくと今まで行き止まりだとばかり思っていた道が、
じつは曲がり角になっていて人が一人通れる立派な通路につながっていた。
通路の下は排水溝がありいわば排水溝の通路である。

そんなことを思って通路を歩いてすぐ、山の北側斜面に少しだけ平らな場所に
なんともひっそりと地蔵尊が建立されているではないか。これにはかなり驚いてしまった。いままでまったく気がつかなかった自分の視野の狭さにかなり反省してしまった。

●住宅地の山裾の地蔵尊は真っ直ぐ富士に向かって建立されている


早速、地蔵さんに挨拶に行くと、なんとその地蔵さんは見事な手作りの木像である。
しかも地蔵さんの足元を見ると、太い木の根が美しいカーブを見せて木像を形取っている幹とつながっている。まるで地蔵さんに足があるようでその姿は正座しているように見える。機械彫りの石像に見慣れているせいか、木像というだけでありがたみを感じずにはいられないうえに、この今までに見たことのない樹木の美しい自然美をいかした木像は見事だ。

●地蔵菩薩は地元の人に愛されいるようでなんとも気持ちがよい


地蔵を祭る小屋も見事な作りで、無垢の丸太と板梁で鳥居形をつくり、正面の入口の庇にあたる屋根をしっかりと支えている。その木製の鳥居形の柱両脇の仕口部には何やら彫刻が施されていたようで、はっきりとは分からないがどうやら狛犬のようである。これはなんとも素晴らしい。
●地蔵小屋の入り口の仕口に施された彫刻は狛犬か

いままでまったく気がつかなかった愚か者は、無言でその在り処を教えてくれた人と犬に感謝し、本日も人間の力に称賛と感謝の一日である。

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