2015年2月12日木曜日

朝日湯(4)⭐️⭐️⭐️⭐️

◉神奈川県横浜市鶴見区〔重曹泉〕

北海道旅行の締めに京急の生麦駅で途中下車。銭湯の閉店が相次ぐ時代、数年ぶりに訪れる「朝日湯」に若干の不安はあったが、第一京浜沿いの堂々とした店構えは健在だ。のれんをくぐり中に入ると番頭のお祖母さんが若がえり、あと取りの女将さんと思われる人が番台に腰掛けていた。「幼児はサービスしておきます」と5歳児は無料にしてくれた。(横浜市の銭湯は何処でも幼児は無料である)

⚫︎信号待ちで全てのドライバーが一目する朝日湯は第一京浜名物



ここはいかにも昔ながらの銭湯といった建物の造りで、正真正銘の木造。脱衣場の内壁は漆喰塗りで天井が高く白い壁と茶色の木の部分のコントラストが目をみはる。木部の茶色の塗装は最近施したようでまだまだ営業していく意思の表れと見え大変喜ばしい。
⚫︎格天井のある広々とした空間はまるで御屋敷の中にいるようだ


いつ来てもお客さんが絶えなく、平日の夕方どきもあってか小学四年生が3人で湯を楽しみに来ている。子どもたちだけで銭湯に入りにくるとは東京ではあまり見ることができない光景だ。うちの長男坊も同じ小学四年生だが、とても子どもたちだけで銭湯に行くことはできそうもない。朝日湯がある鶴見区はわたしの自宅がある東戸塚と同じ横浜市だが、東戸塚は新興住宅街で住宅はマンションだらけで緑はあるが何かと窮屈感がある。もっとも銭湯自体が皆無だ。

さてお湯は典型的な黒湯で濃度は高い。浴槽は全部で4槽。1つを除き全てに温泉の黒湯が注がれている。銭湯特有のレバー式の太い水栓から注がれる濃い黒湯はとても気持ちがよい。中でも低温の黒湯(水風呂の温度)は珍しく何度でも入ってしまう。水風呂のといえばサウナがつきものだが、オプションで100円必要で、わたしを含め利用している人はいない。

そして朝日湯のウリは何と言っても、蒔きで湯(黒湯温泉)沸かしていることだ。町の大工さんが不要になった木材をリヤカー(今の時代は小さくても軽トラックだろう)で運び込みそれを燃料としているのだ。わたしも子供のころ親父(大工さん)の手伝いで不要になった木材を実家近くの銭湯(非常に残念ながら一昨年前に廃業)に持ち込んだ思い出がありとても感慨深い。蒔きで沸かしたお湯は煮え立つように熱せられ、その湯に浸かっている身体は溜まった老廃物が根こそぎ身体から蒸発していくような心地よさと湯上り後のポカポカ感を味わうことができる。ボイラーで温められた湯に慣れすぎている身体にはとても新鮮で気持ちがよい。多くの銭湯がボイラーに転向していった時代をはるか通り過ぎ、近隣住民の理解もあってだろうーーー今なお蒔きで湯を沸かし続けていることは賞賛に値する。

⚫︎裏口に積まれた木材。この隣の空地には木材が整然と積み重なり順番待ちしていた。

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